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ホログラフィック・3Dプリンター


ホログラフィック・3-Dプリンター(ホロプリンター)は、コンピュータで作られたデジタルの3次元画像データをホログラムによる立体像として自動的に出力する装置です。現在のイメージプリンタと同じように、コンピュータの周辺装置として利用する3次元版のイメージプリンタを実現することを目的として研究しています。このような装置ができれば、3-Dコンピュータ・グラフィックスやCAD(コンピュータ支援デザイン)などによって作られた3次元画像データを立体像として表示できるようになるものと期待されています。
ホログラムの記録にはホログラフィック・ステレオグラムの技術を用います。通常のホログラムでは、実物にレーザー光を当てて撮影する必要がありますが、ホログラフィック・ステレオグラムは被写体を様々な方向から見たたくさんの2次元画像列から立体像を合成します。このため、コンピュータ処理した架空の物体などを立体像として表示することができます。

 図2には記録光学系の原理図を示しています。コンピュータで計算した画像を液晶パネルに表示し、レーザー光で照明、液晶パネルを透過した光はレンズでホログラム面上に集光されて、物体光になります。ホログラム面の反対側から入射する参照光と干渉させて、約0.2mm~0.3mm角の小さなホログラムを撮影します。そしてホログラム記録材料を水平・垂直に移動させて、図3に示すようにホログラム面全面にこの微小なホログラムを記録します。こうして記録したホログラムを再生すると、図4に示すように、ホログラム面上の各点から様々な方向に向かう光線が再生されます。観察者は、ホログラム面上の全ての微小ホログラムから再生された光線が合成されて像を見ることになります。液晶パネルに表示する画像は、図5のようにして一種の光線追跡により計算します。これによって、空間内に本当に物体があるときと同じように、様々な方向に向かう光線が再生され、立体像を観察することができるのです。 

図6 ホロプリンター試作装置

これまでに、図6に示すようなプロトタイプの装置を開発、また、RGB三色のレーザーを用いてカラーのホログラムの作成に成功しています(図7)。
現在は、意図したとおりの色を再現するためのカラーマネージメント、物体の光沢を忠実に記録・再現することによって表面の質感を高いリアリティで表示する技術の研究を行っています(図8)。

図7 フルカラー・ホログラフィックステレオグラムの再生像写真

図8 光沢を持つ物体を記録したホログラフィックステレオグラムの再生像写真

なお、本研究は凸版印刷(株)との共同で行われています。